2026年の沖縄の台風|13号・18号の記録と「遅い台風」の脅威
本記事は2026年8月26日時点の公表情報にもとづきます。 台風の最新情報は必ず気象庁の発表をご確認ください。
2026年は「平成以降で最多ペース」の台風シーズン
2026年の沖縄は、例年とは明らかに違う台風シーズンになっています。数字で見ると異常さがはっきりします。
| 項目 | 2026年 | 平年 |
|---|---|---|
| 1〜7月の発生数 | 13個(7月28日までの速報値) | 7.9個 |
| 年間発生数の予想 | 28個前後 | 25個 |
| 日本への接近数の予想 | 14個程度 | 平年より多い |
日本気象協会は8月24日の解説で、8月までの台風発生数が平成以降で最多ペースであると指摘しています。1〜7月の平年値7.9個に対して13個ですから、単に「多い」という水準ではありません。
そして沖縄は、この夏に2つの大きな台風の直撃を受けました。台風13号と台風18号です。両者には共通した特徴があり、それが建物管理の観点では最も厄介な性質でした。
台風13号(ドルフィン)— 時速9kmという異常な遅さ
記録
8月上旬、非常に強い勢力の大型台風13号(アジア名: ドルフィン)が沖縄に接近しました。
- 8月6日に大東島地方へ接近、7日に沖縄本島が暴風域に入り、9日まで強風が続きました
- 琉球新報は8月5日朝の時点で、沖縄本島近くで時速9キロという進行速度を報じています
- 奄美市名瀬では8月8日午前4時40分までの48時間で435.0mmの雨量を観測。これは8月の月間降水量の約1.5倍にあたります
被害
- 車の横転、樹木の倒壊、停電
- 那覇空港の国内線が欠航
- 天然記念物に車が突っ込む事故
- 通過後も影響が続き、宮古島の前浜漁港に砂が積もる、国頭村の小学校で屋根が損壊
- けが人9人
台風18号 — 8月下旬、非常に強い勢力で接近
記録
8月25日から27日にかけて、非常に強い台風18号が沖縄・奄美に接近しました。本記事執筆時点でまだ影響が残っています。
- 8月26日12時現在、久米島の北約190kmを西北西へ毎時15kmで進行。中心気圧960hPa、中心付近の最大風速40m/s
- 最大瞬間風速: 北大東空港42.2m/s、うるま市宮城島37.2m/s
- 波の高さは25日に10m、26日に11mが予想されました
- 沖縄本島地方・大東島地方では「一部の住宅が倒壊する恐れもあるような猛烈な風」が予想されていました
被害
- 停電: 沖縄電力によると8月26日午前5時時点で、本島北部を中心に3,440戸。奄美地方では2万9000戸
- うるま市で78歳の女性が風にあおられて転倒し、頭部を打って救急搬送
- 8月26日、沖縄本島中南部の暴風警報が解除
なお8月24日時点では「トリプル台風」に加えて新たな台風の卵も発生していると報じられており、シーズンはまだ終わっていません。
2026年の本質的な脅威は「風速」ではなく「時間」
ここが今シーズンの最も重要なポイントです。
台風13号の最大瞬間風速や、18号の40m/sという最大風速は、沖縄の過去の記録と比べて突出して大きいわけではありません。2018年の台風24号「チャーミー」では、沖縄本島南部(南城市)で最大瞬間風速56.2m/sが観測されています。
にもかかわらず2026年の台風が厄介なのは、動きが遅く、暴風が長時間続いたからです。台風13号の時速9kmは、人が自転車で走る程度の速度です。
遅い台風が建物に与える影響
1. 暴風の累積時間が伸びる
風速50m/sが1時間吹くのと、風速40m/sが12時間吹き続けるのは、建物に与える負荷が別物です。固定金具の緩み、シーリングの疲労、雨戸レールの変形は、風圧の繰り返しで進みます。一瞬の最大値では測れない損傷です。
2. 塩分の付着量が増える
暴風が長く続けば、それだけ長時間、潮を含んだ風が建物に吹き付けます。金属部に付着する塩分の総量が増え、通過後の腐食の進行が速くなります。塩害の進行と対策は沖縄の別荘で塩害対策が必須な理由で詳しく解説しています。
3. 雨量が積み上がる
48時間で435.0mm(8月の月間降水量の約1.5倍)という数字は、遅い台風の帰結です。この量になると、陸屋根のドレン(排水口)やベランダの排水口が詰まっているだけで浸水します。沖縄の住宅に多いRC造の陸屋根は、水が自然に流れ去らない構造であるため特に注意が必要です。詳しくは沖縄の家の作りはなぜコンクリートなのかをご覧ください。
4. 現地に入れない時間が長引く
これが不在物件のオーナー様にとって最も深刻です。暴風が続いている間は誰も現地を確認できません。橋を渡る立地(本部町の瀬底島、うるま市の海中道路で結ばれた島しょ部)では、通行への影響も長引きます。
5. 停電の復旧が遅れる
暴風が続く間は復旧作業に入れません。本島北部のように倒木が発生しやすいエリアでは、この遅れが積み上がります。
エルニーニョ現象と、秋の「発達した台風」
シーズンはまだ終わっていません。むしろ2026年は、秋のほうが警戒すべき理由があります。
2026年はエルニーニョ現象への移行が予測されており、シーズン後半には「スーパーエルニーニョ」に発展する可能性も指摘されています。エルニーニョ現象は台風の性質を次のように変えます。
- 台風の発生場所が通常より南東にずれる
- その結果、日本へ接近する際に海上を進む距離が長くなる
- 台風は暖かい海面からエネルギーを得るため、海上を長く進めば十分に発達した状態で接近しやすくなる
日本気象協会の見通しでは、9月以降の日本への接近数は平年並みの予想ですが、発達した台風が接近するおそれがあるとして注意を促しています。加えて2026年は9月〜11月も気温が高く、秋の訪れが遅い見込みとされています。海面水温が高い状態が続けば、台風が勢力を維持しやすい条件も残ります。
つまり「数は平年並みでも、1個あたりが強い」というのが2026年秋の想定です。
9月〜10月に向けて、不在物件のオーナーがすべきこと
ここまでの実測を踏まえた、優先順位です。
1. 台風18号の被害を「今」確認する
最優先です。18号の通過直後で、まだ確認していない物件があるなら早急に点検してください。理由は2つあります。
- 火災保険の請求権は3年で時効(保険法第95条)ですが、時間が経つほど「その台風による被害である」という因果関係の証明が難しくなります
- 屋根や外壁の小さな損傷を放置したまま次の台風を迎えると、そこから一気に拡大します。シーズン中の放置が最も危険です
点検すべき10か所と保険申請の手順は台風後の点検と修繕の進め方にまとめています。
2. 塩を洗い流す
18号は暴風が長く続いたため、建物は全面に塩をかぶっています。エアコン室外機、給湯器、サッシレール、手すり、面格子を真水で洗い流してください。この作業をするかどうかで、その後の劣化速度が変わります。
3. 排水経路を空けておく
遅い台風は雨量が積み上がります。次の接近前に必ず確認してください。
- 陸屋根・屋上のドレン
- ベランダの排水口
- 雨樋
- 敷地内の排水溝
清掃だけで防げる浸水がこのカテゴリーです。
4. 固定金具を締め直す
長時間の風圧で緩んでいる可能性があります。カーポート・テラス屋根のボルト、面格子、フェンス、雨戸のレール。シーズン序盤には問題なかった箇所でも、13号と18号を経た今は状態が変わっています。
5. 樹木を処理する
伸びた枝は建物を叩き、折れて飛びます。国頭村の小学校で屋根が損壊した事例のように、飛来物は屋根を壊します。9月までに剪定を済ませてください。
6. 秋の接近に向けて巡回頻度を上げる
「8月を乗り切った」ではなく「発達した台風が来るかもしれない9〜10月が残っている」と捉えるべきシーズンです。通常期は月1回でも、9月・10月だけ月2回に増やすという組み方ができます。
接近前にやることの全項目は沖縄の台風前チェックリスト30項目を、事前準備から修繕・保険申請までの全体像は沖縄の家の台風対策|台風銀座で建物を守る完全ガイドをご覧ください。
まとめ
- 2026年は平成以降で最多ペースの台風シーズン。1〜7月で13個(平年7.9個)、年間28個前後の予想
- 台風13号(8月上旬)は沖縄本島近くで時速9kmという異常な遅さ。奄美市名瀬で48時間435.0mm、国頭村の小学校で屋根損壊、けが9人
- 台風18号(8月下旬)は中心気圧960hPa・最大風速40m/s。北大東で最大瞬間42.2m/s、うるま市宮城島で37.2m/s、停電3,440戸
- 2026年の脅威は最大風速ではなく暴風が続く時間。風圧の繰り返し、塩分の付着量、雨量、現地に入れない時間、停電復旧の遅れがすべて伸びる
- エルニーニョへの移行により、秋は数より1個あたりの強さに注意。発生場所が南東にずれ、海上を長く進んで発達しやすくなる
- 今やること: 18号の被害確認 → 塩を洗い流す → 排水経路を空ける → 固定金具の締め直し → 樹木の処理 → 9〜10月の巡回頻度を上げる
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